発行元:一般社団法人 北海道自然保護協会
発行年月日:2007年3月31日
内容:北方域の河川の底生動物相を特徴づける重要な構成種カワシンジュガイは、サケ科魚類との問に宿主ー寄生という密接な共生関係を保ちながら河川生態系の構成員として生き続けている希少淡水二枚貝である。互いに強い生物間相互作用で結びつき、長い時間を経てこの共生関係を発達・維持させてきた両者は、北方域の河川生物群集の成り立ちや進化的プロセスを探る上でも貴重な生物群である。しかしながら、近年、多産するとされてきた北海道の河川においてもカワシンジュガイの希少化は急速に進行しており、その存続が危ぶまれている。ここでは、本種の興味深い生活史やサケ科魚類との共生関係を紹介すると共に、北海道におけるカワシンジュガイ個体群とその生息環境の現状および保全について話題提供したい。
資料提供元:北海道自然保護協会