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論文・論説

北海道の自然 第48号 植物の現状から考える北海道の生物多様性保全 佐藤謙著

発行元:一般社団法人 北海道自然保護協会

発行年月日:2010年3月31日

内容:本稿では、生物多様性保全が重要であることを前提として、北海道の生物多様性保全に関する施策が非常に不十分である実態について論考する。本稿は、野生植物が減少する主要な原因に挙げられている自然遷移、森林伐採ならびに盗掘に関して、北海道における事実を述べる。これと連動して、一つには、全国的に展開されている「里地里山保全計画」が北海道の自然に合わない施策であること、二つ目は、北海道の森林の大半を占める国有林では、生物多様性保全を重視すべき機能の一つに掲げながら、それを他の機能より軽視または無視している実態があることを解説する。

資料提供元:北海道自然保護協会

論文・論説

北海道の自然 第48号 園芸植物と生物多様性 笠康三郎著

発行元:一般社団法人 北海道自然保護協会

発行年月日:2010年3月31日

内容:私たちの暮らしに役立てるため、たくさんの園芸植物が海外から導入されてきたが、その中には逸出・拡散して生態系に様々な危害を加えているものも少なからず出てきている。ワイルドフラワーのように、現在はあまり使われなくなってもあちこちに痕跡を残すものもあれば、ハーブ類の中には全く想像も付かなかった危険性を持ったものが見つかるなど、対象や特性が幅広いのが特徴である。導入に当たってのリスク管理はまだ始まったばかりであり、情報も不足しているけれども、分かる範囲で情報を公開していくこと、身近なところから可能な取り組みを始めていくことが大切である。

資料提供元:北海道自然保護協会

論文・論説

北海道の自然 第48号 昆虫から見た北海道の生物多様性 堀繁久著

発行元:一般社団法人 北海道自然保護協会

発行年月日:2010年3月31日

内容:北海道の昆虫相の特徴と多様性について考える。特に多様性の高いエリアの構成と、北海道の昆虫相の多様性を減少させている要因について、生息地の環境変化、舗装道路の整備、薬剤の影響、そして外来種の影響等について個々の事例を含めて紹介する。

資料提供元:北海道自然保護協会

論文・論説

北海道の自然 第48号 生態系の多様性-特に、河川生態系とサケ類を中心に 帰山雅秀著

発行元:一般社団法人 北海道自然保護協会

発行年月日:2010年3月31日

内容:生態系と生物多様性を解説するとともに、生態系の撹乱の例としてわが国の河川生態系の変遷と外来種との関係、生物多様性の例として安定同位体比分析に基づく知床世界自然遺産地域におけるサケ属魚類による物質輸送について紹介した。

資料提供元:北海道自然保護協会

論文・論説

北海道の自然 第48号 ニホンザリガニの保全と外来のザリガニ 川井唯史著

発行元:一般社団法人 北海道自然保護協会

発行年月日:2010年3月31日

内容:北海道のザリガニ4種の概要と現状について解説した。4種とは在来の希少種ニホンザリガニ、特定外来生物ウチダザリガニ、要注意外来生物アメリカザリガニ、最近得られた通称ミステリークレイフィッシュ(ミステリーザリガニ)である。これらの現状として、ニホンザリガニは以前、北海道の全域に分布しており、現在でも広く分布はしているものの生息地数は激減している。これに対してウチダザリガニは分布域を急速に拡大している。またアメリカザリガニとミステリークレイフィッシュは札幌市内で発見されている。ニホンザリガニとウチダザリガニ両方への対策は既に取組まれており、その現状と問題点を抽出し、評価を行った。その現状を踏まえた上で、今後の方向性としては、子供を中心とした環境教育を重要なキーワードとして提言した。そして具体策の提案も行った。

資料提供元:北海道自然保護協会

論文・論説

北海道の自然 第48号 札幌市円山動物園の取り組み-「種の保存」と「北海道の野生動物復元プロジェクト」を中心に 野谷悦子著

発行元:一般社団法人 北海道自然保護協会

発行年月日:2010年3月31日

内容:札幌市円山動物園では2006年から市民、経済界、学識経験者、教育界など幅広い分野の人たちの意見を取り入れた改革が進んでいる。動物園はレジャー施設に特化して発展してきた歴史が長いが、今の時代にふさわしく、「癒し」や「種の保存」、「環境教育」にも力を入れていく内容である。本稿ではその中から貴重な野生動物を繁殖させる「種の保存」と、市民や研究者、大学との協働で行う「北海道の野生生物復元プロジェクト」について紹介する。特に後者は、これからの社会における動物園の存在意義を問い直す意味で価値がある。動物園が開かれた存在になりつつあること、飼育の専門家がその技術を生かした社会貢献であること、注目度の高い動物園という施設を生かして幅広く情報発信できることなど、動物園は古い体質の殻を破り、少しずつ変貌を遂げている。

資料提供元:北海道自然保護協会

論文・論説

北海道の自然 第48号 自然再生 その考え方と取り組み状況 石川幸男著

発行元:一般社団法人 北海道自然保護協会

発行年月日:2010年3月31日

内容:自然再生の定義を明らかにしたうえで、自然再生事業が全国各地で取り組まれるきっかけとなった自然再生推進法の概要を解説する。解説するおもな内容は、自然再生基本理念、自然再生基本方針、自然再生'協議会、および自然再生事業実施計画である。特にこの法律の根幹をなす自然再生基本方針をさらに詳しく解説したうえで、規模の大きい自然再生事業にかかわりをもつ関係省庁の取り組みを、各省のウェブページ上の情報をもとに整理する。さらに、日本生態学会がまとめた自然再生における生態学的な指針を紹介する。最後に、以上の情報をもとにして、自然再生事業の内容を検証する上での観点を簡単に考察する。

資料提供元:北海道自然保護協会

論文・論説

北海道の自然 第48号 当別川地区自然再生事業-そのプロセスと今後の展望 竹中万紀子著

発行元:一般社団法人 北海道自然保護協会

発行年月日:2010年3月31日

内容:当別川地区自然再生事業では自然の回復力に委ねることを主眼に置いた整備が進められている。着工後2年足らずで草原・湿地環境が急速に回復したが、課題もある。一つは、再生した草原・湿地環境の維持だ。当別ダムが完成すれば融雪増水の頻度の減少が予想され、遷移を巻き戻す力は弱まる可能性がある。二つ目は、湿原・湖沼環境依存の生物の衰退や一極集中の解消という課題をクリアするためには、当該地を禁猟区にすることが望まれる(現在は狩猟自粛区域)。外来種への対処も大きな課題だ。そして、草原の維持・創出の一手段として土手法面の時期を選んだ適切な管理が必要だが、近隣農家による採草により草原性鳥類の繁殖に大きな影響が出ている。これらの課題は他地域の自然再生事業にも共通すると考えられる。

資料提供元:北海道自然保護協会

論文・論説

北海道の自然 第48号 釧路湿原自然再生事業の5年とその行方 杉澤拓男著

発行元:一般社団法人 北海道自然保護協会

発行年月日:2010年3月31日

内容:釧路湿原で見られた気象の変化から、釧路湿原の保全・自然再生の諸課題を考えた。釧路湿原では5年前、自然再生推進法に基づいて自然再生事業が官・民の「協働」で開始されている。今年はその5年目の「点検」の年となった。自然再生事業の経過や実態を見ると実効性のある自然再生への市民参加の実態は乏しく、官主導の公共土木事業だけが主な事業となっていることが明らかで、自然再生の原則である流域視点に基づく自然再生事業は程遠いものとなっているといえる。市民が進めている森林再生の独自の取り組みの中でも自然再生の原則「順応的管理と説明責任の原則」が曖昧になっていることも自ら明らかにした。

資料提供元:北海道自然保護協会

論文・論説

北海道の自然 第48号 地方財政とダム 山城えり子著

発行元:一般社団法人 北海道自然保護協会

発行年月日:2010年3月31日

内容:「国・地方財政」や「情報」はいったい誰の物なのであろうか。地方分権時代を迎えて10年。未だ国民(住民)も国(行政)も明確な判断を持てないでいる。財政および情報は国民(住民)のものであり、その行政と住民の共有する情報を基に、地方は財政への責任と事業決定をすべきと考える。

資料提供元:北海道自然保護協会

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